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名古屋地方裁判所 昭和60年(わ)482号 判決 1985年6月20日

本店の所在地

愛知県春日井市篠木町七丁目二二一四番地

輝洋實業株式会社

(右代表者代表取締役 伊藤義美こと 尹義美)

国籍

韓国(慶尚北道慶州市馬洞四三九番地)

住居

名古屋市名東区植園町三丁目一四番地

会社役員

伊藤義美こと尹義美

一九四五年八月一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官藤原光秀出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人輝洋實業株式会社を罰金二、〇〇〇万円に、被告人尹義美を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人尹義美に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人輝洋實業株式会社(以下「被告会社」という。)は、愛知県春日井市篠木町七丁目二二一四番地に本店を置き、パチンコ遊技場を営むもの、被告人伊藤義美こと尹義美は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるか、被告人尹義美は、被告会社の取締役である妻伊藤登美子こと鄭笵順と共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二、三八九万四、七八六円で、これに対する法人税額が五、一〇三万六、五〇〇円であるのに、同年一一月二九日、愛知県小牧市小牧一九五〇番地所在の小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六四五万九、二七五円でこれに対する法人税額が五九一万三、八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四、五一二万二、七〇〇円を免れ

第二  同年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六、六四七万一、五八七円で、これに対する法人税額が二、六八〇万五、五〇〇円であるのに、同年一一月二九日、前記小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六〇万一、二五三円で、これに対する法人税額が二万八、〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二、六七七万七、五〇〇円を免れ

もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の

(1)  当公判廷における供述

(2)  検察官に対する供述調書

(3)  大蔵事務官(五通)に対する質問てん末書

(4)  大蔵事務官に対する上申書

一  鄭笵順の検察官に対する供述調書

一  水谷昭夫、矢利哲、後藤克己、鄭笵順(五通)、小西貢、大蔵事務官に対する各質門てん末書

一  大蔵事務官作成の法人税申告内容(昭和五六年九月期分、昭和五七年九月期分、昭和五八年九月期分)についての証明書三通

一  大蔵事務官作成の簿外定期預金等の内訳(59・6・25)、簿外資金の収支(59・7・23)、社長との貸借について(59・7・23)、大垣共立銀行西山支店の仮名預金の帰属について(59・6・25)、受取利息仮払金の明細(59・6・25)、事業税の明細(59・8・3)、公表現金預金の明細(59・6・25)、売上除外金額について(59・7・23)の各査察官調査書

一  加藤光良、高橋清、鄭笵順(二通)の大蔵事務官に対する各上申書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  浜野幸広作成の定期預金印鑑票等(写)綴

一  寺沢賢一作成の非課税貯蓄申告書(写)等綴

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の第一の脱税金額の明細についての脱税額計算書

判示第二の事実につ

一  大蔵事務官作成の第二の脱税額の明細についての脱税額計算書

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については更に同法一六四条一項、被告人尹義美については刑法六〇条)に該当するところ、被告人会社については情状により法人税法一五九条二項を適用し、被告人尹義美については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した罰金額の範囲内で罰金二、〇〇〇万円に、被告人尹義美については同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認められる判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年に、それぞれ処し、被告人尹義美については同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 宮平隆介)

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